グラタンが食べたい

警告！良い子のみなさんは、決してまねしねいでね！

或る日、電子技術者でありバイク乗りの友人Ｏの家にお泊まりに行った。

Ｏ：「何食べたい？」
私：「グラタン♪」

材料を買って来てから、オーブンが無いことに気づく二人。

Ｏ：「非力なオーブントースターならあるんだけどなー。」
私：「バイク乗りはパワーが正義だって言ってなかったっけ？」

そそのかす私に、しばし考えるＯ。

Ｏ：「マグネトロンだったらあるんだけど…。」

マグネトロンというのは、おおざっぱに言えば電子レンジの中身。
大電力の高周波を出力する真空管の一種でとってもパワフル。
そそくさとオーブントースターのガラス窓の外側にマグネトロンを張りつけ始めるＯ。
電源をつないで、トースターとともに加熱を始めた、とたん。
頭が揺れ始めて吐き気がしてきた。

「やっばーっ！ストップ！ストップ！」
「脳味噌のコキーユ作ってるぞ～！」

電源を外す前に外れたマグネトロンは、チーズの代りに畳を焦がし、
私達の脳味噌をちょっと調理した。
なんともいえない不快感の中、私達はばったりと寝てしまった。
ホワイトソースにまみれたの生焼けのカニのように。