F0114 — 音で判る導通チェッカ
f0114 internals
デジタルマルチメーターよりも直感的な、音で判るインサーキット導通チェッカです。

特徴

使用例

短絡、MLCC、抵抗、ダイオード、タンタルコンデンサ、導電性プラスチック等の音の違いの例です

⚠ 注意

■ 電池は+−を逆に入れない
■ 端子間に 5 V を超える電圧を加えない
🚫 守らないと破裂、発火、故障の原因となります。

回路図

fig.1 回路図
SMDed schematic
部品表 (テキスト, 2KB)

動作のあらまし

 DUT(Device Under Test, 被検体)は、fig.1 中 T+, T- 間に接続されてテストされます。 R1 で決められている電流が Q1 と DUT によるワイドラー型電流源 (Widlar current source) 回路により、 DUT のコンダクタンスに合わせて Q1 のコレクタ電流に変換されます。 Q1 のコレクタ電流は C1 により積分されシュミットトリガーインバータ U1A-1 の入力電圧 CI となります。 CI 点の電圧が U1A の上昇入力閾電圧 VT- を下回ると U1A の出力が High レベルになり、 C1 は Q2, R4 により放電されます。 CI 点の電圧が U1A の下降入力閾電圧 VT+ を超えると U1A の出力が Low レベルになり C1 の放電は停止します。 この繰り返しにより、DUT のコンダクタンスに応じた周波数で U1A は発振します。 U1A の出力は U1F による反転出力と合わせて、差動信号 {NL, NH} となります。 D2 は U1A が発振動作をしているときに点灯する LED インジケータです。 差動信号は出力バッファ U1E, U1D, U1B, U1C と R5, R6, R7, R8 を経て差動出力信号 {PE-, NM} となり、 C4 で直流分を阻止した上で圧電サウンダ PZ1 を駆動します。

電池寿命

 F0114 は低消費電流で、また待機電流も約 4 μA と電池の自己放電並に少ないため長期間に渡って電池交換が不要です。 そのため、使用する電池には自己放電が小さく液漏れを起こしにくい「10年保存可能」のように長期間の保存を謳ったアルカリマンガン電池や、 低自己放電形のニッケル水素電池が推奨されます。

 単4形アルカリ乾電池 (LR03) の電池容量はおよそ 1000 mAH (@終止電圧 1.1 V)です。 アルカリ電池の自己放電を仮に 5 年で 2 割減とすると電流換算で 5 μA 程度となります。 最大待機日数は、1000 mAh / (5 + 4) μA / 24 h/day ≈ 4630 day (約 12.5 年) となります。 一方鳴動時の電流は約 1.6 mA で、一日に延べ 6 分間(0.1 h)使用した場合の推定使用可能日数は、 1000 mAh / (1.6 mA * 0.1 h + 5 μA * 24 h/day) ≈ 3570 day(約 9.7 年)となります。

 低自己放電モデルの単4形ニッケル水素電池 (BK3-MCC) の電池容量はおよそ 750 mAH (@終止電圧 1.1 V)です。 ニッケル水素電池の自己放電を仮に 5 年で 3 割減とすると電流換算で 5 μA 程度となります。 最大待機日数は、750 mAh / (5 + 4) μA / 24 h/day ≈ 3470 day (約 9.5 年)、 推定使用可能日数は、750 mAh / (1.6 mA * 0.1 h + 5 μ A * 24 h/day ) ≈ 2680 day (約 7.3 年) となります。

仕様

絶対最大定格

動作温度: -10 ~ 60 [°C] (凍結や結露の無いこと)
保存温度: -10 ~ 80 [°C] (凍結や結露の無いこと)
電源電圧: -0.5 ~ +6.0 [V]
入力電圧: -6.0 ~ +6.0 [V]

推奨動作条件

動作温度: +5 ~ +35 [°C] 
相対湿度:   45 ~ 85 [%] (結露の無いこと)
電源電圧: +2.2 ~ +3.3[V]
入力電圧: -0.3 ~ +0.3 [V]

ブザー及び LED 表示

導通時:ブザー鳴動と共に LED 点灯(点滅)
非導通時:ブザー鳴動せず LED 消灯
負電圧印加時:ブザー鳴動せず LED 点灯

電源

単4形アルカリ電池 (LR03) × 2 本 または
単4型ニッケル水素電池 (BK3-MCC) ×2本

補足追記 [2020/5/23]

 Q1の2つのトランジスタはマッチドペアであることが大切で個別トランジスタは適しません。 実は元々の設計では Q1 に Sanyo の差動増幅用のマッチドペア 2SC3067 の選別品を使用していたのですが、 その代替品として Q1に使っていた Sanyo, CPH6519 も入手困難になってしまいました。 ここで使っているペアトランジスタに必要な特性とその目安は次の通りです。

2020年7月現在採用しているものは PMP4201Y (Nexperia) です。

動作は未確認ですが 2020年7月現在購入可能で Q1用に適していると考えられるものは他には下記のものがあります。

ウエハー上の隣接ダイは特性が揃っているので、それを使用したものも使える可能性があります。 使えるかどうか不明ですが 国産の汎用デュアルトランジスタだとこういうもあります。

変更 [2020/9/01] 回路図更新 (Rev.1.28) 及び部品表追加
変更 [2022/4/30] 回路図更新 (Rev.1.30) 信号名追加および動作のあらまし等を追加

SEE ALSO


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