アナログ回路を設計していく上で、使用する部品を選定する必要がありますが、 以下の様な点に留意して選定していきます。 データシートが入手できること。  これがないと設計できません。 回路の要求性能を満たすのに必要十分であること。  要求性能を満たすのに、必要な性能が無ければならないのは当然として、必要以 上の部品を選定してしまうと、ある特性は良いが、別の特性は劣っていたりします。 例えばA/Dコンバータで言えば、1%の精度で良い測定回路に、14ビットのも のは無意味ですし、気温のようにゆっくりした変化を測るのに1Mサンプル/秒の A/Dは不必要です。 安価であること。  軍用や医療など信頼性を最重視する場合以外は、安価であることが重要です。同 じ性能をより安価に作れれば、市場での競争力が向上しますし、利益も得やすくな ります。 入手性が良いこと。  いくら性能が良くても、入手が困難であったり、すぐに製造中止になる可能性の ある部品は採用しないようにします。大手メーカーの部品で、他のメーカーからも 互換品(セカンドソース)が出ている部品は、実績のある優れた部品−性能だけで はなく、使いよさとか信頼性の点でも−であることが多く簡単には廃品種にならな いことから安心して採用することが出来ます。家電メーカーの部品の場合、カタロ グやデータブックに載っていても、社内製品用に作っていて外部に販売していなか ったり、すぐに製造中止になることがありますので注意が必要です。ベンチャー企 業など小規模の会社の製品は供給の面で不安が残ります。しかし、本当に良い部品 であれば、比較的すぐに大手部品メーカーからセカンドソースが出てくるでしょう。 社内で標準品があれば、できるだけそれを利用する。  コストや管理、入手の手間が省けるし、実績のある部品であることが多いため問 題が生じにくく、また問題が生じた場合でも解決の手段が判っている場合が多いの で、社内標準品があればできるだけそれを採用します。 使用する部品の種類を減らす。  使用する部品の種類が減れば、入手や管理の手間が減りますし、誤実装などのト ラブルも減らせます。抵抗はE12系列、コンデンサはE6、コイルはE3系列で 済ませることができるのならば、そうした方が良いでしょう。

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