回路の特性を知る−基礎実験の奨め

アナログ回路を設計し試作した時に、思惑通りに動作しなかった場合に、それぞ れの回路部分の特徴や特性を正しく把握できていなければ、いったいなにが問題な のか見当もつかなくて、泥沼にはまったようになってしまうことがあります。こう いった事態を避けるためにも、重要な回路部分や経験の乏しい回路に関して、でき るだけ理想的な条件で実験回路を組み基礎実験を行うことが有効です。まず、期待 通りに動作するか確認し、色々条件を変えながら、色々な測定を行って、どういう ことがどういう影響を及ぼすか、その程度はどれくらいか、など調べてみます。実 験回路規模を小さくシンプルにして、できるだけ理想的に作っておけば、色々な特 徴や問題点を他の問題と分離して調べることができます。経験や回路に対するセン スも増えるので、実験は手間を惜しまずしておきたいものです。回路規模が大きく なっても、部分部分の回路を理解していれば、たいして難しい問題にはなりません。  たまに誤動作するような場合に簡単に、「ノイズで誤動作して・・」などと言い 訳をするのはあまり言いたくないですよね。どういったノイズがどのように影響し ているのか判っていれば対策しているわけですから。では、どういったノイズがど のように影響してるか、というのはどうやって知ることができるのでしょう。ノイ ズに関する知識というのは、ほとんどが経験で得られるものですから、色々な基礎 実験をしていく上で、例えばESD試験をしてみたり、電源電圧を変動させてみた り、回路のすぐ側でUHFトランシーバを使ってみたりして、なにがどうなるかを 調べることによって経験が積み重ねられていきます。また、回路をシミュレートした場合は、シミュレート結果と実際の測定結果が、 大きく違う場合は、シミュレーションに問題が無いのであれば、回路の何をモデル に入れていなかったのか、素子感度の非常に高い部分はないか、など色々調べてい けば回路の理解も深まります。

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