入力の急峻な変動時

フェーズロックドループの入力周波数がステップしたときや、アンプにステップ する信号が入った時など、定常状態に落ち着くまでの間に、どういう挙動を示すか、 どれくらいの時間がかかるか、といったことを設計時に考慮する必要があります。  例えば、A/D変換のアンチエイリアスフィルタなどで、周波数特性だけにとら われて設計したりすると、サンプリング周期の間にリンギングが収まらなかったり して必要な精度が得られなかったりします。温度制御回路などでも熱の伝達関数を見 積もり間違えてたりすると、温度が安定するのに非常に時間がかかったり、温度が リンギングを起こしたり、下手をすると発振して熱的暴走を引き起こしたりします。  閉回路制御みたいに、ある伝達関数を実現するように設計する場合もありますし、 アンプなどの場合は、基礎実験でステップ信号を入力し、およその特性や伝達関数 を得てから設計を進める場合もあります。アンプの場合は、波形を重視する場合は 群遅延特性が平坦になるように位相補償をしておけば、 ステップ入力に対してリンギングが発生しません。  アナログスイッチでは、制御線が変化する時にゲート容量を通して電荷が信号線 側に伝わり、雑音や歪みになります。サンプルアンドホールド回路では、ホールド コンデンサが小さい場合に問題になります。例えば10pCの電荷がゲート容量を 通して1nFのホールドコンデンサに分配されたとすると、ほぼ10mVの電圧に なるわけですから、逆相の制御信号を作って電荷を中和してやるなどの必要がある でしょう。
© 2000 Takayuki HOSODA.