飽和やカットオフ時
アンプやトランジスタに過大な入力が入った場合に入力や出力が飽和したときに
どういう挙動を示すかを考慮して設計する必要があります。基本的には、スイッチ
ング回路などは別として飽和やカットオフが起らないように設計します。定常状態
では飽和しなくても過渡的に飽和やカットオフしたりすることがありますので、飽
和、カットオフ状態やそれらの状態からの復帰特性がどうなるかを知っておく必要
があります。
バイポーラトランジスタでは、小数キャリアが電流を担っていますから、Vce
が低くベース電流が多い時に飽和が起こり、ベースにキャリアの蓄積が起ります。
飽和した場合、キャリアを引き抜かない限り、復帰に数10μsかかることも
珍しくありません。多数キャリアが媒体のFETではキャリアの蓄積は起りません。
LEDやスイッチングダイオードでも、高速にオフにするには、逆バイアスをか
けてキャリアを引き抜かなければなりません。
オペアンプで、最大同相入力電圧を越えると、出力極性の反転が起こるものがあ
ります。片電源動作可能なオペアンプは、負電源と同じレベルまで同相入力電圧を
許容しているものです。オペアンプはコンパレータではありませんので、出力が飽
和した場合の復帰に数10μを越える時間がかかることがあります。また、そうい
った過渡時に異常発振を生じたりすることがあります。
バッファアンプに良く使用されるコンプリメンタリプッシュプル回路ですが、バ
イアスをABクラスで行っていてもトランジスタの片方がカットオフしている状態
から能動動作領域に戻る時間遅れの為に歪みを発生します。
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