元々は高校生の頃、部活帰りの夜の自転車置場で自分の自転車が見つけにくくて目印用に作った回路です。
間欠点灯のため省電力で単3電池1本で1年以上光り続けてくれます。
うちの子の冬休みの自由工作のネタに、私が電子工作を始めた小2の頃のようなレトロなラグ端子で作りなおしてみました。
■ 電池は+−を逆に入れない
■ 公称電圧が 1.5 V を超える電池を使用しない
🚫 守らないと故障の原因となります。
この回路は、弛張発振回路とスイッチド・キャパシタ型倍電圧回路を組み合わせた、単三電池1本で定格順方向電圧が 2 V 前後の LED を間欠閃光で光らせる回路です。
1970 年代風のレトロな作りですが、大容量 MLCC とか AlInGaP 超高輝度 LED とかオーパーツが混ざっています。
回路図
動作概略実測波形電源が入ったときには Q2 のベース電流が流れてそのコレクタ電流が Q1 のベース電流となり Q1 がオンになります。 Q1 がオンの間に C1 が(主として) Q2 のベース電流により充電されます。 C1 の充電が終わると Q2 のベース電流が失われて Q1 がオフになります。 Q1 がオフになると R1, R2 経由で C1 が放電され始め Q2 のベースは逆電位となり Q2 はカットオフします。 C1 の放電が進み Q2 のベース電位が下がって R1 にベース電流が流れてコレクタ電流が流れ始めると Q1 が導通し始めます。 Q1 が導通し始めて Q1 のコレクタ電位が下がり始めると C1 を介して Q2 のベース電流が流れる正帰還状態となり Q1 は急速にオンになります。 Q1 がオフの間には C2 は R2, R3 経由で充電されていて、Q1 がオンになると LED と C2 と電池が直列接続となって LED が点灯します。
発光間隔は主に R1 × C1 の時定数で変わります。 発光間隔を短くするには R1 を 1 MΩ から 160 kΩ 程度までの範囲で小さくします。 発光間隔を長くするには C1 を 2.2 uF から 10 uF 程度までの範囲で大きくします。
1 VC : Q1-Collector, 2 VB : Q2-Base (V1 = 1.5V, Ta = 23 °C)
注意事項
- D1 の LED には電池電圧では点灯せず2倍の電圧で点灯するもの、例えば駆動電流が 20 mA 時の順方向電圧が 1.9 ~ 2.1 V のものを選びます。
100 mA 程度のパルス点灯に適した AlGaInP の 高輝度赤〜黄色 LED (e.g. OS5RKA3131A, OS5YKA3131A (OptoSupply) 等) が推奨されます。
InGaN 系の UV、紫、青、白、緑等の定格順方向電圧が 2.7 V を超える LED は使用できません。- C1, C2 には元々はアルミ電解コンデンサを使用していましたが、EIA X5R あるいは JIS B 特性の MLCC に置き換えることができます。
- C1 に印加される電圧は反転するため固体タンタル電解コンデンサは非推奨です。湿式アルミ電解コンデンサは 1.0 V の逆電圧に耐えるので使用可能です。
- Q1 には IC 多め、VCE(sat) 低めの汎用 NPN トランジスタ (e.g. BC817W (Nexperia), MMBT2222 (On Semiconductor) 等) が適しています。
- Q2 には ICBO 少なめ、hFE 高め の汎用 PNP トランジスタ (e.g. BC807W (Nexperia), MMST3906 (Diodes) 等) が適しています。
- D2 には VF ≃ 720 mV (IF = 1.0 mA, Ta = 25 ℃) くらいの 1SS205, 1SS53 または 1SS54 (NEC) が適していましたが、残念ながらどれも廃品種になってしまいました。
代りに Q2 と同じトランジスタのベース・エミッタ間をダイオード代りに使うことが出来ます。コレクタはベースではなくエミッタに接続します。
[Jan. 25, 2022]
[Jan. 26, 2022] 注意事項追記
[Jan. 31, 2022] 注意事項追記