VCOの設計とKv

要求仕様より、上下に約 10[MHz] の余裕をみて発振可能周波数を決定する。
発振周波数と雑音特性と入手のしやすさから発振トランジスタに 2SC4226 を、
VCO のバリキャップに発振周波数と可変容量範囲から 1SV245 を用いるとする。

発振回路の周波数を決定するインダクタと容量を決定するにあたり、
影響を及ぼす容量を考慮する。

発振トランジスタのコレクタ容量 Cob ≒ 1.0 [pF] 程度
帰還トランジスタによる負荷容量 Cb ≒ 0.5 [pF] 程度
発振インダクタの浮遊容量 Cl ≒ 0.7 [pF] 程度
配線などによる浮遊容量 Cs ≒ 0.8 [pF] 程度
周波数調整トリマコンデンサ容量 Ct ≒ 0.8 〜 2.0 [pF] 程度
バリキャップ容量 (@Vr=4〜6[V]) Cv ≒ 3.3 〜 2.2 [pF] 程度
トリマコンデンサの中心値を 1.5 [pF]
バリキャップ容量の中心値を 2.65 [pF] とすると
発振容量 Co = Cob + Cb + Cl + Cs + Ct + Cv = 7.15 [pF]
中心発振周波数 fc = 354.3 [MHz] とすると発振インダクタ Lo は、
Lo = 1 / Co (2πfc)2
= 28.2 [nH]
となる。

バリキャップの容量が中心値であるとして、トリマコンデンサによる周波数可変範囲は、

flt = 1/2π√28.2[nH]・7.65[pF] = 342.7[MHz]
fht = 1/2π√28.2[nH]・6.45[pF] = 373.2[MHz]
fht - flt = 30.5[MHz]
トリマコンデンサの値が中心値であるとして、バリキャップによる周波数可変範囲は、
flv = 1/2π√28.2[nH]・7.7[pF] = 341.5[MHz]
fhv = 1/2π√28.2[nH]・6.6[pF] = 368.9[MHz]
fhv - flv = 27.4 [MHz]
である。 上記調整範囲及び周波数可変範囲は、要求仕様の発振周波数範囲を必要十分にカバーしている。

VCOの伝達関数 Kv は、

Kv = 2π (fhv - flv) / (Vcmax - Vcmin)
= 2π [rad] (368.9 - 341.5 [MHz]) / (6.0 - 4.0 [V])
= 86.08e6 [rad/s/V]
となる。

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