波形観測におけるパッシブプローブと直列終端抵抗
細田 隆之
Rev.0.3 (Oct. 3, 2013)

比較的高速なロジック回路等の波形観測に、オシロスコープとパッシブプローブを使用する場合において、 信号源側に直列終端抵抗 Rd を付加することにより、より正確に波形観測を行える場合があります。< パッシブプローブのキャリブレーションを、パッシブプローブの特性に合わせた直列終端抵抗がある状態で行い、 被測定回路側にも直列終端抵抗を付加することにより、波形ひずみが少ない状態で観測できるようになります。 また、Rd により副次的に被測定回路へのプローブの影響が軽減されます。

シミュレーション回路

波形観測の説明用に以前私が作った、パッシブプローブの SPICE モデル例です。
パッシブプローブの抵抗線ケーブルのモデルには、損失のある伝送線路モデル LTRA を使用しています。
各定数は特定のプローブの定数というわけでありません。
passive-probe-sch.png
Download passive-probe.asc, the schematic file for the LTspice XVII.

過渡応答特性シミュレーション

passive-probe-step.png
被測定箇所 in において Rd = 200 Ω の場合にプローブの反射によるリンギングが低減されているのが見て取れます。
また、プローブが Rd = 200 Ω でキャリブレートされた状態では オシロスコープの入力端 out での波形ひずみが少ないのがわかります。

群遅延特性シミュレーション

passive-probe-gd.png
実践は振幅の周波数特性を、点線波形は群遅延特性を示しています。
また、プローブが Rd = 200 Ω でキャリブレートされた状態では オシロスコープの入力端 out での群遅延特性が平坦なのがわかります。

まとめ

1:10 のパッシブプローブにおいてキャリブレーションをするということは、低周波的にはその伝達関数を定数 1/10 にすることですが、 高速な波形観測における波形観測用プローブのキャリブレーションの要点は群遅延特性を平坦にするということに尽きます。 伝送波形ひずみが少ないというのは、とりもなおさず群遅延特性が平坦であるということなのです。

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