精密基準電圧 IC LT6657A を直列モードで使用する場合、LT6657A の入力に例えば下図のような低雑音プリレギュレータを入れることで、
電源電圧変動や自己発熱に起因する基準電圧出力のドリフトを低減することができます。
Fig.1 LT6657A 用 低雑音プリレギュレータ 回路図
J1 は高 gm の超低雑音 JFET で、U1 に対し、出力電圧 Vout が U1 の基準電圧出力 Vref + J1 のゲート・ソース間電圧 Vgs になるプリレギュレータとして動作します。
J2 は起動回路として動作します。
また動作点における FET J1 の出力抵抗 ≒ 1/gmOP と Cin により LPF を構成しています。
J1 の実デバイスの耐圧は 40V ですが入力電圧 Vin は最大負荷電流と周囲温度や放熱条件等により制限されます。ここでは仮に 16 V を上限としています。
回路図 : pre-regulator-for-lt6657a.asc — LTspice XVII 用回路図
3.1 V 以上の入力電圧 Vin に対してプリレギュレータとして動作しているのが見て取れます。 ロード・レギュレーションは、ほぼ J1 の出力抵抗 ≈ 1 / gm となります。
Fig.2 ライン・レギュレーション
プリレギュレータの電源電圧変更除去比 PSRR (Power Supply Rejection Ratio) は DC ~ 1 MHz まで 60 dB 以上が得られています。
Fig.3 電源電圧変動除去比